「“ポップ”には、発信する人と受信する人をつなぐっていう意味があるんです。このアルバムも、私と聴いてくれる人がもっと密につながれるきっかけになってくれたら嬉しいですね。でも、曲を作るときの気持ちは以前とまったく変わってないんですよ。自分自身のことを正直に歌いたい、っていうのがいちばん大事なので」
自らのリアルな経験、そこに生まれる感情がストレートに反映された彼女の音楽。その素晴らしさが端的に現れるのは、やはりラブソングだろう。アルバムの先行シングルとしてリリースされる「いつの日も」も、そう。ドラマティックなメロディを持つこの曲は、“好きという気持ちを、まっすぐに伝えたい”という彼女の切実な思いから生まれたという。
「去年、すごく好きだった人とさよならをしちゃくちゃいけなくなったんです。人と人として初めて正面から向き合えた人だったし、信頼しつつ、いっしょにがんばってきた人でもあったから、その終わり方はすごく悲しくて。そのとき、考えたんですよね。どんなに幸せでも、いつか必ず終わりが来る。だからこそ、この一瞬一瞬を大切に刻みながら、大事な人を余すところなく伝えられたらいいなって」
アコースティックギターの弾き語りによる「都合の良い女の唄」も、魅力的なラブソングのひとつ。女の子の複雑で繊細な恋愛感情をテーマにしたこの曲、たとえば「あなたの気持ちに気づいてて/簡単すぎて/知らんぷりした」という歌詞に思わず共感してしまう人も多いのではないだろうか。
「“相手が自分に好意を持ってる”ってわかってて知らんぷりしたのに、じつはどこかで気になってる――そういうことって、意外と多いと思うんですよ。で、その男の人がほかの女性に行っちゃうと、ちょっと寂しくなってしまったり。自分でも“ずるいな、わがままだな”って思うけど、女の子はみんな、お姫様でいたいんですよ(笑)。特に私は一人っ子だったこともあって、まわりの人がみんなこっちを見てないとイヤなんですよね…」
また、彼女自身も「自分のことを上手く言い当てられた」という「ポーカーフェイス」も印象的。
「この曲を書いたのは高校生の頃なんですけど、当時の私はいつも冷静で、人前でなかなか感情を出すことがなかったんです。それにはちゃんと理由があって、“本当の気持ちは、大事な人の前だけで見せたい”と思ってたんですよね。100人の人に1の感情を見せるんじゃなくて、1人の人にすべての感情を知ってほしい。それは、いまもぜんぜん変わってないですね」
さらに「私がマリリン・モンローみたいに可愛かったら、好きな男の子もずっとこっちを見てくれるのに、っていう妄想」から生まれたという「モンロー」(エレクトロ系のサウンドが新鮮!)、“彼は自分のことを見てない”とわかっていても、どうしても好きな気持ちを捨てられない女性を描いた「わかるの」など、恋する女の子の気持ちを捉えた楽曲がたっぷり味わえる本作。二十歳になったばかりの彼女も、しっかりとした手ごたえを感じているようだ。
「デビューからの1年は“これから、どんなふうに自分を見せていきたいか”ということがわからず、苦しいときも多かったんです。でも、自信を持って“いいアルバムが出来ました。聴いてください”って言える作品が出来て良かったなって。二十歳の目標? うーん、もうちょっと、自分のことを客観的に見れるようになりたいかな。フィジカルとメンタルの両方をきちんとコントロールできる二十歳になりたいです(笑)」
3月からは初の全国ツアー「阿部真央らいぶNo.1」もスタート。どこまでもリアル、そして、どこまでも切実な彼女の歌をぜひ、体感してほしい。
text:森朋之
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