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KREVA CONCERT TOUR 2012「GO」

存分に感じてほしい。KREVAがKREVAである理由を。

 KREVAとラップ――。ソロ・デビューから7年、日本を代表するヒップホップ・アーティストとして唯一不動の存在であり続けるKREVAにとってのラップは、言うまでもなく音楽表現における最強の武器であり、リスナーと共鳴するための最高のコミュニケーション・ツールでもあり、そして自らの誇りを貫く最大のアイデンティティである。つまり、一心同体だ。コンセプチュアルな構成をもとに普遍的な音楽作品を築き上げた4thアルバム『心臓』、“OASYS”というKORG製のシンセサイザーを駆使しサンプリングに頼らない方法論をもってトラックとラップと歌を豊潤に共存させたミニ・アルバム『OASYS』を経て、KREVAが本作『GO』に至るまでに追い求めたのは、一心同体であるラップの新たなる訴求力だった。リード・シングル「挑め」、「C'mon, Let's go」、「KILA KILA」で浮き彫りになったその気運は、KREVAがなぜラッパーとして孤高のポピュラリティを得ることができるのかをあらためて顕示もした。

「いまはラップだなって思ったんです。当初はラップと歌が半分ずつあるというコンセプトでアルバムを作ろうと思っていたんですけど、まず『挑め』をリリースしてラップへの意識が高まって、その後震災があって、さらに自分がいちばん得意なこと、できることをやろうという思いが強くなりましたね。ラップと歌のどっちが得意かといったら100%ラップだから。それをしっかりやっていこうと。それから意識的にラップと向き合っていったらどんどん上手くなっていく実感がありました。ものすごく技術的な話になるけど、例えば日本語でラップするときに一音に一語乗せるところを、リズム感重視で二語乗せてみるとか。いままではなるべくシンプルにラップを聴かせようとしていたんですけど、今作ではそういうテクニカルな部分を強化しましたね」

 こうして連なった、Encoreとされた「EGAO」「探究心」を含む全12曲。本作の制作中にKREVAはニュー・アルバムの全体像をこのように予告していた。@前述のとおりラップで押し切る作品になる。A“イケイケ”なムードをたたえている。Bこれまでの作品群は、自らの音楽に興味を示せないリスナーをいかに振り向かせるかに重きを置いていたところがあったが、ニュー・アルバムはファンに強く向けたものになる。これらの予告は、いきなり鮮烈なスキルの更新を見せつけるM1「基準」で具現化されている。不穏な音色で刻まれるギター・リフと不敵な迫力を放ちながらバウンスするビートに刻みつけられた、扇動的なフロウとリリック。世間に蔓延る得心できない存在に“差別ではなく区別”を突きつけ、圧倒的な“基準”を打ち立てるこの曲の最後にKREVAはこう告げる。〈違いのわかる男女が増えれば/未来は変わるちゃんと/俺は俺のファンとそれ以外も/まぁ引き受ける〉

「今作はまず何よりファンに向けているところがあるから、俺と俺が好きじゃないヒップホップ、ラップとされるものをしっかり区別するような基準となる曲を1曲目にもってこようと。ファン以外の人も試聴して『基準』を聴けば思わず買ってしまうくらい強い曲だと思うんですけど(笑)。『基準』、『挑め』、『KILA KILA』の最初3曲でお腹いっぱいになるくらい序盤はイケイケでもいいと思いましたね」

 だが、本作が決して“イケイケ”なムードだけに終始しないことがM4「蜃気楼 feat. 三浦大知」以降の流れで明らかになる。KREVAは長らく自らの音楽の真髄を“ビートの利いたセンチメンタル”という言葉で表現してきた。今作では外部トラック・メイカーとして迎えたMAJOR MUSIC(M3、M4、M9)と熊井吾郎(M8)とともに紡いだ奥深く躍動するサウンドに、情感豊かな切り口で彩られたリリックのストーリーを濃密にブレンドしながら、“ビートの利いたセンチメンタル”の熟成を聴かせてくれる。結ばれない恋模様を描き、メランコリックなメンタリティを表出し、出口なきトンネルのなかでさまよい続ける姿をさらす。本作の制作中に「パブリック・イメージとして“ポジティヴの権化”みたいに思われている節があって、そこに違和感を覚えているからあえてメランコリックな部分も出していきたい」と語っていたが、こういったリリックの趣向はその思いの表れだ。それでいて、トラックとラップの響き方がどこまでもアクティヴだから、ネガティヴなだけの後味は残らない。この奥行きが、すばらしい。曲順はどのようなイメージで編んだのかと聞くと、意外な言葉が返ってきた。

「曲順はどうでもいいと思ってました。『基準』からはじまる最初の3曲はポンポンポンと決まっていったんですけど、それ以降は全体のストーリー性を意識するのをやめようと思って。今まではすごく曲順にこだわっていたし、今回も『runnin’ runnin’』で失恋して、『呪文』で自分の世界に閉じこもって、『微炭酸シンドローム feat. 阿部真央』でパーティに行ったけどやっぱり弾けられないみたいな(笑)、そういう流れを意識してリリックを書いていたんですけど、それもなしにして。曲順を完璧にしちゃうと、ライヴでもその世界観を完璧に表現したくなるから、頭で崩せなくなってしまうんですよね。もっとライヴを自由に組み立てたいなという思いと、ルール化したマナーを崩したいという思いがあってのことですね」

 トラック・リストを見れば一目瞭然だが、今作ではフル・アルバムでははじめてラッパーの客演がない。だからこそ、余計に三浦大知と阿部真央という若きソロ・シンガー/シンガーソングライターの名が際立っている。

「偉そうな言い方になってしまうけど、このアルバムに呼びたいラッパーがいなかった。シングルのカップリングでいろんなラッパーに参加してもらったからというのも理由のひとつですね。大知くんと阿部真央ちゃんは、いつもそうなんですけど、それぞれの曲のメロディができたときに声が聴こえてきたんです。あと、阿部真央ちゃんは同じレコード会社に所属している同士として会社を盛り上げていきたいというのと、ヒップホップを中心に聴いているリスナーにフレッシュな刺激を与えられるんじゃないかと思ったのも大きかった。彼女は曲によっていろんな声を出せるので、どういうアプローチでくるのかなと思っていたんですけど、また新しい引き出しを見せてくれたのがうれしかったですね。大知くんはずっと交流があって、彼の曲に俺が客演に呼んでもらったり、俺の“勝手にリミックスシリーズ”で大知くんの『Magic』という曲をフィーチャーさせてもらったことはあるんですけど、やっと正式に自分の曲に参加してもらうことができました。お互いをすごくリスペクトしている感じが曲にも表れていると思います」

 『GO』というタイトルを冠したのは、5枚目のフル・アルバムだからという至極シンプルな理由によるものだが、その実、本作でKREVAが放出しているダイナミズムを端的に表してもいる。ここにはインスタントな希望や肯定は一切描かれていない。J-POPのフィールドでヒップホップ的なるもの、ラップ的なるものとして認識されている多くの楽曲が即効性を売りにし、刹那的に消費されることをあらかじめ承知しているかのように、希望や肯定の外観を切り取っているのに対し、KREVAは断固として量産型のポジティヴィティを拒否する。KREVAの音楽世界では「もともとはすごくネガティヴな人間」という自身の内面や時代の閉塞感とのシビアな闘争なしにそれは生まれないし、語れないからだ。「基準」で幕を開ける本作は、その気概がこれまでより強く顕在化している。だから、『GO』はシリアスな感触にも満ちているし、その一方でリスナーがここから何らかのポジティヴィティを得るのならば、それは確かに本質的なものであると断言できる。存分に感じてほしい。KREVAがKREVAである理由を。

「『心臓』のときはリリース前から自分で“最高傑作です”って言ってたけど、『GO』はリスナーの熱い思いで最高傑作になっていったらいいなと思っていて。リスナーが勝手にいろんな人に宣伝しちゃうくらい熱い奴を求めている。そういうアルバムですね」

(三宅正一/fixed)


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